男の、女の人生が響く音楽葬。「幕を引け、喜劇は終わった」そのエピローグは…音楽で
遺影は
自分で選び
奏でる音楽と
流す映像は
自分で決める
祭壇の花の色
白と限らない
それが私の
スタイルだから
■裕次郎と同じ病で、夫は歌とともに旅立った
なんで、あんなに飲むのよ…。
病室にお酒を持ち込むなんて…。裕次郎じゃあるまいし。
アルコール性肝硬変って言われて、飲んだら死ぬって言われて、それでも隠れて飲んで入院して。
なんで飲むのよ…。
子供たちより、私より、87歳のお義母さんたってあんなに心配してたのに、あんたは、自分のお酒の方が良かったのね。大事だったのね。
そりゃ、あんたはいいわよ。
飲みたいだけ飲んで。ポロボロになつて勝手に逝ってしまつたんだから。
病院から急な電話が来たのは一昨日の夜中…。三時過ぎてた。
食道静脈瘤の破裂で即死に近かったって、そんなこと言われて、どうすればいいのよ。
あんたのお通夜に、お酒なんか出さないわ。
冗談じゃないわ、もうお酒なんて見るのもイヤ。
ほら、みんな怒ってないでしょ。
あんただけよ、飲みたいのは。
写真の中で笑わないでよ。
ね、聞こえる?
あんたの友だち。
ひどいお酒に、いつも仕方なく付き合ってくれた人たちが、酒がなくては可哀想だって、歌ってくれてる。
あんたが好きだった裕次郎の歌。
「ブランデーグラス」って、あんた、煙草片手にグラスを持って、よく歌ってたじゃない。
みんな、今夜はお酒抜きで、あんたの為に歌ってくれてる。
裕次郎の歌。
あんたと同じ、食道静脈瘤だった人。
でも、あたしは、そんなあんたが好きだった。
あんたに高いお酒を売ったのはあたし。
「銀恋」を歌ったのも、きっとあたしが一番だった。
思い出すわ。あの頃のこと。
銀座じゃないけど、あなたと私の深夜の恋の物語……。
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